リアトーイン

リアトーイン (セットアップ) 

 

 

 

タイヤを真上から見たとき、

 

 

前方が狭まっている 状態   →   トーイン

 

前方が広がっている状態   →   トーアウト  

 

 

となります。

 

 

まぁ〜、語源的には、

 

 

トーイン  →   トー(つま先) が、イン側を向いている 「内股状態」

 

トーアウト  →   トー(つま先) が、アウト側を向いている 「ガニ股状態」

 

 

ということになります。

 

この トーイン値 は、角度の表記になっており、

 

トータルトー と呼ばれる 左右のトーを合算した数値で表記されます。

 

たとえば、

 

 

右  イン 0°20’(イン 20分)

 

左  イン 0°20’(イン 20分) 

 

 

の場合、左右を合算して イン 0°40’(イン 40分) と、表記されます。

 

また、1°以下の単位は、

 

0°60’(0度60分)  =  1°00’(1度00分)  の 60進法 が採用されています。

 

 

セットアップ (アンダー/オーバーのバランスを取る) といった観点では、

 

リア トーイン は、とっても、とっても 大きな ファクターなのであります。ハイ。

 

そして!!

 

リア トーイン によって、

 

アンダー/オーバーのバランス を変化させるために、

 

理解しておかなければならない 基本中の基本は・・・・・・、

 

 

 

@ リアトーイン値 が大きいと、アンダーステア方向となる

 

A リアトーイン値 が小さい、または、トーアウト になるとオーバーステア方向となる

 

ということです。

 

では、具体的に説明しましょう!

 

FF  FR MR 4WD 等、エンジン搭載位置 & 駆動方式 は変われど、

 

純正車両における リアのトーイン値は、だいたい、

 

 

イン  0°30’ 〜  1°30’  (イン 30分〜1度30分)

 

 

アタリではないかと、推測します。

 

(もちろん、一部の車両では、上記以外のトーイン値の場合もあります)

 

 

たとえば、とあるクルマのトーイン値を計測したら、

 

イン  0°30’  だったとしましょう。

 

そして、このクルマは、バランス的に、

 

かなり、アンダーステアが強い状態なら、

 

 

イン  0°30’  →  イン  0°20’  に、

 

トーイン値を小さくすると、アンダーステアは、改善する方向となり、

 

 

 

反対に、このクルマのバランスが、オーバーステアなら、

 

 

イン  0°30’  →  イン  0°40’  に、

 

トーイン値を大きくすると、オーバーステアは、改善する方向となります。

 

 

1) 現在 アンダーステア バランス の場合

 

   多過ぎるトーイン(付き過ぎているトーイン)を 

 

   オーバーステアバランスにならない領域まで取る (ゼロに近づける)。

 

   ※ 走行抵抗が減少することから、ストレートのスピードも、UP します!

 

 

2) 現在 オーバーステア バランス の場合

 

   少な過ぎるトーイン(ゼロに近いトーイン)を 

 

   リアの動きが安定するまで付けていく (インの数値を大きくする)。

 

   ※ FR / MR の場合、トラクションも、強くなります! 

 

   ※ 走行抵抗が増加することから、ストレートのスピードは、DOWN します。

 

 

となるのであります!!

 

ただ、これらトーイン値におけるセットアップは、

 

その時々のクルマの バランスに合わせ込みながら

 

変更するものですから・・・・・・・、

 

 

 

アンダーステアを抑制するために、

 

イン  0°45’  →  イン  0°10’ といった感じに、

 

大きく変更したら、反対に オーバーステア になったり、

 

 

 

イン  0°45’  →  イン  0°00’ に、セットしても、

 

元々のアンダーステアが強過ぎて、

 

まだまだ、アンダーステアのバランスが改善できない・・・・、

 

なんていうことも、よくある話しなのであります。

 

 

 

 

もちろん、アンダー/オーバーのバランスを取るのは、

 

サスペンションセット、タイヤチョイスを含め トータルで考えるもので、

 

リアトーインだけで、バランスを取るものではありませんので、

 

そのあたりお間違いなきように、お願いしまス

 

そして、リアトーインは、少しの変更で、

 

アンダー/オーバーのバランスが大きく変化する領域があります

 

 

リアのトーインは、小さな変更で、大きく U/S O/S のバランスが変わる部分です。
端的に説明するならば、トーインなら U/S方向、トーアウトなら O/S方向となります。

 

バランスが変わる原理は、前回のフロントでの説明と同じです。

 

たとえば、トーアウトなら、コーナーに対して外側のリアタイヤが、外向きにヨレている状態から、一気に内側にヨレている状態に変わります。この時、フロントと違って、操舵しないリアは、車体がタイヤの上で真横にスライドすることから、慣性がつきO/S となってしまいます。

 

反対に、トーインなら、最初から外側のタイヤが内向きにヨレている訳ですから、このヨレの方向が変わらず、安定したグリップを発揮しますので、U/S 方向のバランスとなります。

 

また、トーインが付いていると、リアがスライドした状況でも、タイヤの進行方向に対して、よりスリップアングルがついている状況になることから、O/S が抑制されます。

 

 

 

実戦でのセットアップ例で話をしましょう。

 

● U/S が強い状況では、リアのトーインを少なくしていきます。

 

ただ、基本的には、トーインがゼロになったり、トーアウト方向へセットアップすることは、まずありません。
1度付いてるトーインを45分にするレベルでも十分に違いを感じられるハズです。
トーインを減らす目安として、ブレーキングでリアのどっしり感が、なくなりかけてきた時が限界と考えてください。
それ以上、リアのトーインを少なくすると、いくらU/S は減少しても、乗りにくく、攻めづらいバランスとなりますので、
ラップタイムは、上がりません。

 

 

● O/S が強い状況では、リアのトーインは付ける方向です。

 

この場合も、トーインの量を、15分ぐらい増やすだけで、ハッキリ違いを感じられるハズです。
トーインを付けることにより、グリップの立ち上がりを安定させ、スリップアングルを増やし、よりたくさんの仕事をリアタイヤにしてもらい、バランスさせるという考え方です。
ただ、バランスさせるためにトーイン量が大きくなるに連れて、ストレートでの抵抗が増えて、ストレートスピードは遅くなってしまいますので、そのあたりも考慮しないとラップタイムは狙えません。
もし、バランスさせるためにトーインが1度以上必要なら、他の方法で O/S を抑制する方が得策かもしれないですね。

フロントトーイン

左側・・・・フロント トーイン
右側・・・・フロント トーアウト

 

となりますね。

 

 

はじめに、フロントのセットアップから話をしましょう。

 

まず、"トーイン"から。
純正の状態では、ほとんどが"トーイン"にセットアップされています。
だいたい、30分〜40分(時間じゃなくて、"トーイン"の量です。60分=1度)レベルです。
理由は、直進安定性を確保したいからです。そう、フロントが"トーイン"なら、直進安定性が良くなるのです。

 

しかし、レーシングカーや、ハイレベルのチューニングカーの場合は、"トーアウト"がセットアップの王道です。

 

なぜなら・・・・

 

●理由その1
レーシングカーや、チューニングカーの場合は、純正に比べてキャンバーがたくさん付いてますよね。
ネガティブキャンバーが大きいと、"トーイン"がゼロの状態でも、タイヤは内側に転がろうとします。

 

(ちょっとわかりにくいかもしれませんが、右フロントタイヤをイメージして下の写真を見てください)

 

 

 

(photograph by minoru tanaka)

 

写真のように、ネガティブキャンバーが大きく付いた状態で直進すると、内側に転がろうとするタイヤをいつも矯正して走ることから走行抵抗が大きくなってしまいます。

 

要するに、スリップアングルが付いた状態で直進することになるのです。そこで、この抵抗を"トーアウト"にすることで打ち消すというわけです。

 

 

●理由その2
ステアリングレスポンスを向上させるために"トーアウト"にします。
なぜ、"トーアウト"にすると、レスポンスが良くなるかというと、タイヤの「ヨレ」に秘密があります。

 

下の画像を見てください。

 

"トーアウト"の状態で直進すると、少しですがタイヤが外側に「ヨレ」た状態になります。

 

たとえば、この状態から左にハンドルを切ると、右フロントのタイヤは、外側にタイヤが「ヨレ」ている状態から、一気に内側に「ヨレ」る状態に変化します。

 

そして、この「ヨレ」の方向が変わるとき、車体もタイヤの上で、一気に右へ動き、「ヨレ」が止まった瞬間、急激に荷重が右フロントのタイヤにかかります。

 

結果、右フロントのタイヤのグリップが、瞬時に立ち上がることで、ステアリングレスポンスが向上するのです。